伝統的な和食 -肉食禁止令-
「伝統的な和食」は、肉は使わない。
675年、天武天皇より「肉食禁止令」が発布されました。
生き物の血を穢れ(けがれ)とする古くからの考えと、殺生を禁じる仏教の教えによるものと言われています。
1871年に、明治政府によって廃止されましたが、それまでの約1200年の間、制度の上では、わが国では肉は食されなかったことになります。
これは、肉が食材とされなかったことに留まらず、肉汁による味付けも、肉に含まれるタンパク質の摂取も無かったということです。
「伝統的な和食」が、多くの魚や豆類を食材とし、味付けのための出汁を引くのは、肉食が禁じられていたことと無縁ではないと思います。
その結果として、食材本来の味を活かしたうす味になったことは、幸運な副産物と言えるでしょう。
皆様には、飛鳥時代の詔(みことのり)と「伝統的な和食」の味わいとの関わりに、思いを馳せて頂ければ嬉しく存じます。