だし巻き玉子

「だし巻き玉子」は、蕎麦屋の品書きによく見られますが、これには確かな由来があります。

蕎麦屋にとって、蕎麦はもちろんのこと、そばつゆもまた腕の見せどころです。
そばつゆに使う自慢の出汁で「だし巻き玉子」を焼き、蕎麦がゆで上がるまでの酒の肴に出していたわけです。
「だし巻き玉子」は、出汁あっての一品ということになります。

関東では、出汁に足す醤油や砂糖による濃い味が好まれますが、うすくあっさりした上品な味付けが関西風です。

「だし巻き玉子」を食するのは、口の中で滴り落ちる出汁が、まだ熱く感じられるくらいがいい。
淡く控えめな出汁で引き立つ卵の風味は、和食らしさ満点です。

余談ですが、今の卵は、昭和の頃よりはるかに美味しくなっているように思います。また、知る限りでは、日本ほど卵の美味しい国はありません。

世界一はもとより、日本の歴史上、いちばん美味しいかもしれない「だし巻き玉子」を味わって頂ければ嬉しく存じます。

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